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【南海トラフ大地震】電車(在来線)に乗っているときに地震が起きたらどうする?

外出

防災といえば、非常食など防災グッズの備蓄にばかり目が行っています。地震などの災害は自宅に居るときに起きるとは限りません。会社勤めしている方などは出社から帰宅まで1日の半分は外出しているわけです。確率的にいっても、外出時の防災が気になりますよね。でも何を備えればよいか範囲が広すぎてわかりにくいでしょう?
本記事ではそのような問題意識にお応えして、調査・分析したものをまとめました。今回は通勤(在来線)編です。
お読みいただければ、備えるべきものは何かがお分かりいただけると思います。

目次
南海トラフ巨大地震とは?
JR在来線で実施されている災害対策
・耐震補強
・津波対策
走行中に地震が起きたら、そのとき電車はどうなる?
非常ブレーキ・地震の揺れ、そのとき乗客はどうすれば?
運転見合わせ(車両・線路の被災状況の点検)
津波警報・津波注意報が発表されたら、乗客はどうする? 
乗客の救出は? 帰宅困難者はどうする?
・乗客の救出
・帰宅困難者は一時滞在施設で待機する
・混乱収拾後、帰宅困難者は順次、帰路につく
今後、電車に乗るときに心がけたいこと
・トイレのある車両に乗車する
・空席がないときはドア付近に立つ
外出するときには、普段から心がけたいこと
・防災グッズの携行
・スマホには防災アプリをインストール
まとめ

南海トラフ巨大地震とは?

私たちは、20世紀には阪神・淡路大震災(1995年)を経験し、21世紀になっては東日本大震災(2011年)を経験しました。今世紀には、さらに東日本大震災を上回る巨大地震を経験することになるかもしれません。

それは、南海トラフ沿いの地域で発生するといわれている南海トラフ巨大地震です。

マグニチュード8~9クラスの巨大地震が、
・10年以内の発生30%程度
・30年以内の発生70%~80%
・50年以内の発生90%程度もしくはそれ以上
の確率でもって発生するとされており、刻々とその時が迫ってきているように感じます。

出典:「今までに公表した活断層及び海溝型地震の長期評価結果一覧」(令和6年1月15日現在)
    文部科学省 震調査研究推進本部

★南海トラフとは
地球の表面近くでは「プレート」(地殻)という岩盤のようなもので覆われていて、日本列島は4つのプレートの境界に位置しています。日本列島は「ユーラシアプレート」と「北米プレート」という二つのプレートの上に乗っていますが、この「ユーラシアプレート」の下に海側の「フィリピン海プレート」が少しずつ沈み込んでいます。この沈み込む境界にあたる巨大な海底の溝(水深4000m)が南海トラフです。
巨大地震と大津波は、「フィリピン海プレート」に引きずられて沈み込む「ユーラシアプレート」のひずみが限界に達し、はじけるように跳ね上がる時に発生します。

政府の中央防災会議は、科学的に想定される最大クラスの南海トラフ巨大地震が発生した際の被害想定を実施しています。

この被害想定によれば、南海トラフ巨大地震がひとたび発生すると、静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7となる可能性があるほか、それに隣接する周辺の広い地域では震度6強から6弱の強い揺れになると想定されています。また、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に10mを超える大津波の襲来が想定されています。

南海トラフ巨大地震の震度分布(強震動生成域を陸側寄りに設定した場合)

南海トラフ巨大地震の津波高
(「駿河湾~愛知県東部沖」と「三重県南部沖~徳島県沖」に「大すべり域+超大すべり域」を2箇所設定した場合)

出典:国土交通省気気象庁HP

JR在来線で実施されている災害対策

本記事は、南海トラフ巨大地震を念頭においているため、想定される被災エリアを走行するJR東海、JR西日本、JR四国、JR九州の在来線について記載しています。

耐震補強

①阪神淡路大震災以降は、地震の被害状況や国土交通省の指導等を踏まえ、高架橋柱の耐震補強を積極的かつ計画的に実施されています。
高架橋柱の耐震補強は、地震時に高架橋の柱が大きな損害を受けるのを防止するために、柱を鋼板で巻くなどの補強を行うものです。在来線においては、列車密度の高い区間の高架橋柱約1,535本、東海地震において強く長い地震動を受けると想定される区間の高架橋柱約3,540本、地震発生時に構造物への影響が大きいと想定される高架橋柱約200本と、対象を拡大して補強を完了されています。さらに、新たに被災時のさらなる早期復旧を目的として、列車密度が高い区間の高架橋柱約3,140本の補強を進められています。
その他、橋脚の耐震補強、盛土区間の耐震補強、地震時に橋けたがずれて落下することを防止する落橋防止工等も実施されているほか、駅舎についても、駅舎本体の耐震化を進めるとともに、乗降1万人/日以上の在来線駅の30駅について、吊り天井の脱落対策を、また、対策不要の駅やレール造の上家等を除いた20駅について、プラットホーム上家の耐震補強を進められています。(JR東海)

➁阪神淡路大震災以降、構造物の耐震補強を進められており、在来線については高架橋柱(せん断破壊先行型)や落橋防止対策の工事を概ね完了されています。現在は、鉄筋コンクリート橋脚や駅舎などの耐震補強対策について順次進められているところです。
加えて、今後発生が予想される南海トラフ巨大地震に備え、高架橋柱(曲げ破壊先行型)のほか、盛土や鋼製橋脚・ホーム上家などの耐震補強も順次進められています。(JR西日本)

③大規模地震対策として鉄道橋や高架橋の耐震対策を実施されています。道路等と交差する鉄道橋や高架橋に対し、落橋防止を目的とした耐震対策を行い、これまでに45箇所の対策を完了されています。本四備讃線の耐震補強は桁の落橋防止対策、高架柱や橋脚に対する耐震補強を完了しており、現在、予讃線の高架柱の耐震補強工事を実施されています。(JR四国)

④地震発生時に高架橋柱等において大きな被害が生じないように、博多駅、佐賀駅、行橋駅、別府駅の高架橋柱1,645 本(対象1,692本 進捗97%)の耐震補強を実施されており、現在、行橋駅の高架柱47本の補強工事を進められています。(JR九州)

津波対策

①各自治体の津波ハザードマップを基に、津波の到達が想定される区間を「津波危険予想地域」として定められています。
津波の発生が予想される場合、まずは「津波危険予想地域」へ列車を進入させないようにします。また、その地域内にいる列車については、地域外へ列車を移動させる、もしくは、お客様を安全な場所へ避難誘導するようにされています。
また、その地域内では、避難すべき方向を示す「津波警標」という標識を設置し、乗務員には避難所までの地図を携帯させ、車両には情報収集のためのラジオを搭載する他、全線で使用している在来線運転士用タブレット端末では津波避難マップとGPSによって最寄りの避難ルートが表示される機能により、お客様に安全な場所へ速やかに避難していただくための対策も実施されています。
さらに、列車から避難していただく際、円滑に降車していただくため、車両に梯子を搭載されています。(JR東海)

➁各府県の津波浸水想定に基づき、線区のハザードマップを作成するとともに、浸水エリアとなる箇所に「浸水区間起点・終点標」を設置し、速やかに避難できるようにされています。

南海トラフ巨大地震による津波被害が想定される紀勢線については、上記に加え、市町村の指定避難場所に誘導する「避難方向矢印標」と「線路外出口標」を設置されています。また、和歌山エリアでは、避難にかかわる環境整備として、避難誘導降車台、沿線の方々の迅速な避難に向けた壁蹴り式避難路、お客様が取り扱うことが可能な車内避難用梯子などを整備されています。(JR西日本)

出典:JR西日本HP 自然災害に対する安全対策

③近い将来、高い確率でマグニチュ-ド9クラスの地震の発生が予想される南海トラフ地震による津波に備え、各自治体のハザードマップを参考にして、線路の浸水が予想される区域に「津波浸水予想区域標」を設置するとともに、線路内からの避難出口を示す「避難出口方向標」や指定避難場所への避難経路を示す「避難出口標」の設置を完了されています。
また、線路の浸水が予想される区域を走行中の列車に対し、運転席に設置してある『GPSトレインナビ』に“津波浸水区域走行中”を表示させることで、運転士に注意を促し“もしもの時”の迅速な対応に役立てることとされています。(JR四国)

避難出口標識

④中央防災会議により公表された「南海トラフ巨大地震の津波浸水想定」をもとに、津波から迅速に避難するため、これまで以下の施策を実施されています。
・乗車中のお客さまを迅速に避難させるための「津波警標」及び「津波警標補助標」の設置
・乗車中のお客さまへ津波襲来時の避難方法等をお知らせするための「リーフレット」を一部の車両に搭載
・危険区域内で停車した列車から降車避難時の避難経路を確保するための「津波避難階段」の設置及び避難設備(高台)への「非常用物品」の設置
・情報収集のための「スマートデバイス」の活用
・駅から避難箇所までの経路を示した「津波避難経路マップ」の掲出(JR九州)

       津波避難階段               津波避難経路マップ                  

出典
JR東海 安全報告書2022

JR西日本 鉄道安全報告書2022

JR四国 安全報告書2023

JR九州 安全報告書2023

走行中に地震が起きたら、電車はどうなる?

普段、通勤やお出かけに利用している電車です。JRの在来線もあれば私鉄もあります。
在来線でいえば、大阪の環状線にように、都市の中心部を移動する手段として都心部を循環する環状線があります。一方、郊外に目を向ければ、都心と郊外、都市と都市を結ぶ近距離路線があります。

環状線は、駅間の距離が短く、歩いて次の駅に行けるような路線であるため、さほどスピードが出ていません。
近距離路線は、駅間の距離が長いため、速度が速く、JR西日本の新快速では最高速度130km/hという特急並みの速度で運行されています。

★最高速度は、車両、路線に対応して設けられている速度で、どの区間であっても最高速度で走行されるわけではありせん。駅間距離が短い区間やカーブの多い区間などでは制限速度があるため減速されています。

もし、通勤やお出かけの途中で、大地震が発生したら、電車はどうなるのでしょうか?
以下の説明で、項目の先頭に付けている①から⑦の番号は、事象が発生する順序を示すものではありません。状況によっては同時並行的に、あるいは前後する場合もあります。

①地震を観測すると、指令所は運行している列車に停止を指示する

気象庁が提供する「緊急地震速報」(地震発生時の初期微動(P波)をとらえて主要動(S波)が到達する前に地震の規模や震源地までの距離などの情報)を各指令所にて受信し、該当する地震規制区間内を運行する列車に対して列車無線または乗務員無線による音声メッセージを自動伝達することにより、乗務員に列車の停止を指示します。

➁車内放送がある

「急ブレーキです。列車が急に止まります。お立ちの方はお近くの手すりなどにおつかまりください。」というような車内放送があります。

★実際には車内放送を聞くよりも乗客のスマホが受信する緊急地震速報の警告音が早いと思います。おそらく、車内のあちこちで警告音が鳴り響いていると思われます。

③地震による揺れが始まる

震源地が近ければ、指令所からの指示により非常ブレーキで列車が減速している段階で揺れが始まると思われます。

④津波警報が発表される(地震発生から3分後)

気象庁では、地震が発生した時には地震の規模や位置をすぐに推定し、これらをもとに沿岸で予想される津波の高さを求め、 地震が発生してから約3分(一部の地震※については約2分)を目標に、大津波警報、津波警報または津波注意報を、 津波予報区単位で発表されます。
※日本近海で発生し、緊急地震速報の技術によって精度の良い震源位置やマグニチュードが迅速に求められる地震

大津波警報または津波警報が発表された場合、沿岸部や川沿いにいる人は、津波による流れに巻き込まれないように、ただちに高台や避難ビルなど安全な場所へ避難する必要があります。

津波警報・注意報の種類
種類発表基準発表される津波の高さ想定される被害と
取るべき行動
数値での発表
(予想される津波の高さ区分)
巨大地震の場合の発表
大津波警報予想される津波の最大波の高さが高いところで3mを超える場合。10m超
(10m<予想される津波の最大波の高さ)
巨大木造家屋が全壊・流失し、人は津波による流れに巻き込まれます。
沿岸部や川沿いにいる人は、ただちに高台や避難ビルなど安全な場所へ避難してください。
10m
(5m<予想される津波の最大波の高さ≦10m)
5m
(3m<予想される津波の最大波の高さ≦5m)
津波警報予想される津波の最大波の高さが高いところで1mを超え、3m以下の場合。3m
(1m<予想される津波の最大波の高さ≦3m)
高い標高の低いところでは津波が襲い、浸水被害が発生します。人は津波による流れに巻き込まれます。
沿岸部や川沿いにいる人は、ただちに高台や避難ビルなど安全な場所へ避難してください。
津波注意報予想される津波の最大波の高さが高いところで0.2m以上、1m以下の場合であって、津波による災害のおそれがある場合。1m
(0.2m≦予想される津波の最大波の高さ≦1m)
(表記しない)海の中では人は速い流れに巻き込まれ、また、養殖いかだが流失し小型船舶が転覆します。
海の中にいる人はただちに海から上がって、海岸から離れてください。

【警報・注意報と避難のポイント】
震源が陸地に近いと津波警報・注意報が津波の襲来に間に合わないことがあります。強い揺れや弱くても長い揺れを感じたときは、すぐに避難を開始しましょう。
津波の高さを「巨大」と予想する大津波警報が発表された場合は、東日本大震災のような巨大な津波が襲うおそれがあります。直ちにできる限りの避難をしましょう。
津波は沿岸の地形等の影響により、局所的に予想より高くなる場合があります。ここなら安心と思わず、より高い場所を目指して避難しましょう。
津波は長い時間くり返し襲ってきます。津波警報・注意報が解除されるまでは、避難を続けましょう。

出典:気象庁HP 「津波警報・注意報、津波情報、津波予報について

⑤大地震の被害により大規模停電が発生し、架線に送電されなくなる

大地震が発生すると、地震の揺れを感知した電力会社の火力発電所は、タービンの損傷を防ぐため運転を自動停止します。発電所が発電を停止すると、今まで均衡していた電気の発電量と消費量のバランスが崩れ、広範囲で停電が発生する可能性があるため、一部地域への送電を自動的に停止して需給のバランスを保ちます。

★JR東日本は信濃川水力発電所(新潟県)と川崎火力発電所(神奈川県)を所有しており、専用の送電線を使って首都圏のJR東日本路線の9割、JR東日本全体の6割を賄っているとのことです。

⑥車内の照明が消え、非常灯に切り替わる

送電停止により停電した車両では、車内の照明が消えて、非常用電源から供給される電力により非常灯が点灯した状態になります。

⑦トイレが使えなくなる

送電が停止されると車内は停電になりますから、電気を使う車内設備を利用できなくなります。照明が消えるだけでなく、空調が効かなくなります。設置された車両が限られているトイレも、電気を使用しているため使えません。

★乗務員室には非常用の簡易トイレが常備されているようです。

非常ブレーキ・地震の揺れ、そのとき乗客はどうすれば?

乗客が受ける衝撃は、非常ブレーキによる衝撃と地震の揺れによる衝撃がありますが、ほぼ同じタイミングでこの二種類の衝撃に見舞われます。
通常のブレーキでは、速度が低下するに伴ってブレーキを緩めるため、減速が滑らかで衝撃も少ないですが、非常ブレーキは、停止するまでブレーキを緩めないので、速度が低下するほどブレーキの効きが強くなり、停止したときの衝撃が大きくなります。

地震の揺れによる衝撃は、震度によって
震度5強・・・物につかまらないと、歩くことが難しい
震度6弱・・・立っていることが困難になる
震度6強・・・はわないと動くことができない。飛ばされることもある
という状況におかれます。

①座席(ロングシート)に座っている乗客は

近くに手が届く手すりがあればしっかり握りしめ、なければ、座っているシートの端っこを持って飛ばされないようにしましょう。

➁座席(クロスシート)に座っている乗客は

ひじ掛け、シートの端っこをしっかり握りしめ、飛ばされないようにしましょう。

③通路に立っている乗客は

非常用ブレーキがかかると、立っている乗客は前のめりに倒されるような動きになり、満員電車だと将棋倒しになる可能性があります。
・ロングシートの傍に立っている乗客は、近くの吊皮や手すり、荷物棚を両手でしっかり握り、将棋倒しに巻き込まれないように、できるだけシートにすり寄り上体を窓側に倒しましょう。小さいお子さんがいる場合は、座っている乗客に抱いてもらいましょう。
・吊皮や手すりのない通路の中央部に立っている乗客は、手が届く吊皮や手すりがあれば、先客と取り合いするのではなく、持てるところをしっかり握りましょう。併せて、できるだけ体を窓側に摺り寄せましょう。

④ドア付近に立っている乗客は

ドア付近に立っている乗客は、手すりをしっかり握りしめ、両足で踏ん張りましょう。ドア付近でも通路中央部に立っている乗客は、できるだけドア方向に身を寄せ、将棋倒しに巻き込まれないようにしましょう。

津波警報・津波注意報が発表されたら、乗客はどうする? (沿岸部を運行する路線の乗客の場合)

大津波警報または津波警報が発表された場合、沿岸部や川沿いにいる人は、津波による流れに巻き込まれないように、ただちに高台や避難ビルなど安全な場所へ避難する必要があります。

沿岸部を運行するJR在来線・私鉄では、気象庁から大津波警報または津波警報が発表されると、乗客を安全な場所へ避難誘導されますので、乗務員の指示に従って高所へ避難しましょう。
沿岸部を運行する路線では、車両には乗客が安全、円滑に降車できるよう「手すり付梯子」を搭載し、また路線の浸水エリアとなる箇所には「津波避難経路マップ」や「浸水区間起点・終点標」を設置し、速やかに避難できるように整備されています。

運転見合わせ(車両・線路の被災状況の点検)

緊急停止した列車の運転は見合わせられます。
運転を再開するためには、構造物や線路の状態について地震計の影響範囲の全ての区間を係員が確認する必要があります。そのため、運転再開までに相当の時間がかかります。
局所的な地震ならともかく、在来線が巨大地震に見舞われたとなれば、線路を始め、架線、信号設備などの設備が無傷ということにはなりません。必ず大幅な復旧工事が必要になると思われます。

耐震補強対策を講じている高架橋柱などの構造物についても、点検が必要です。被災すると想定されるエリアが超広域であることから、運転再開に至るまでには相当の期間を要すると想定されます。

乗客の救出は? 帰宅困難者はどうする?

乗客の救出

JR在来線は、駅間距離が比較的短いため、乗客は降車して最寄りの駅まで徒歩で移動することになると思われます。

★JR東海の在来線を走行する通勤型電車315系では、非常走行用蓄電池を搭載しているため、停電時でも最寄り駅まで自力走行する、または、長時間の駅間停車時にサービス機器を稼働させることができます。

帰宅困難者は一時滞在施設で待機する

駅では、運転見合わせのため、乗車しょうと訪れた乗客に加え、降車した現場から徒歩で最寄り駅まで移動した乗客などでごった返しています。

在来線はもとより私鉄、地下鉄、路線バスなどの公共交通機関の運転再開の目途が立たない状況においては、帰宅困難者(注)が大量に発生します。

帰宅困難者は、開放された駅のコンコース、待合室などで一夜を明かし、翌日、駅係員の案内誘導により、自治体が手配した一時滞在施設に身を寄せることになるかと思われます。

(注)帰宅困難者
地震発生時に外出している者のうち、近距離徒歩帰宅者(近距離を徒歩で帰宅する人)を除いた
・帰宅断念者(自宅が遠距離にあること等により帰宅できない人)
・遠距離徒歩帰宅者(遠距離を徒歩で帰宅する人)
が帰宅困難者として扱われます。

★一時滞在施設とは
一時滞在施設は、都道府県や市区町村から帰宅困難者等を一時的に受け入れることについての指定を受けるか、又は受け入れることについて協定を締結した施設をいいます。国の機関、都道府県、市町村が所有する施設だけでなく、民間事業者の協力により提供された施設もあります。開設期間は、受け入れた帰宅困難者等が安全に帰宅開始できるまでの間(原則として発災後3日間)の運営を標準とされており、滞在中は水、食料、毛布などが提供していただけます。

出典:内閣府 防災情報のページ 
大規模地震の発生に伴う帰宅困難者対策のガイドライン

混乱収拾後、帰宅困難者は順次、帰路につく

①自宅までの距離が徒歩帰宅可能な距離内である帰宅困難者

一時滞在施設に留まった帰宅困難者のうち、自宅までの距離が徒歩帰宅可能な距離内である帰宅困難者は、混乱収拾期以降、原則徒歩で帰宅することとなります。沿道に「災害時帰宅支援ステーション」があれば、水道水、トイレ、休憩の場を提供していただけます。

★「災害時帰宅支援ステーション」は、災害時に、徒歩帰宅者に対し、水道水、トイレ、沿道情報等の提供、休憩の場の提供を行い、徒歩帰宅者が円滑に帰宅できるよう可能な範囲で支援をしていただく施設です。
沿道にある公共施設のほか、コンビニ、ファミリーレストラン、ガソリンスタンドなど民間事業者の店舗の協力により開設されます。

➁遠距離のため自宅まで徒歩で帰宅できない帰宅困難者

被災地内の公共交通機関は運行停止していても、公共交通機関は、安全確認が取れ次第、運行可能な折り返しポイントまで運行が再開されます。
一時滞在施設に留まった帰宅困難者のうち、遠距離のため自宅まで徒歩で帰宅できない帰宅困難者は、折り返しポイントまで徒歩で移動し、運行再開した公共交通機関を使って、帰宅することになります。
折り返しポイントまでの沿道に「災害時帰宅支援ステーション」があれば、水道水、トイレ、休憩の場を提供していただけます。

③自力での徒歩帰宅が困難である帰宅困難者はバス等の代替輸送により搬送

混乱収拾時以降、一時滞在施設に留まった帰宅困難者は、順次、徒歩で帰宅することになりますが、自力での徒歩帰宅が困難な方に対しては、道路啓開等により道路の確保がなされた後、バス等の代替輸送により、自宅まで円滑に帰るための支援が行われます。

今後、電車に乗るときに心がけたいこと

トイレのある車両に乗車する

トイレのある車両に乗車しましょう。トイレのある車両が満員の場合で乗車できない場合は、できるだけ近くの車両に乗車しましょう。

在来線の場合、大阪環状線のように駅間距離が短い路線を運行する車両にはトイレはありません。電車の運行本数が多いので、我慢できないときは早めに途中下車して用を足し、次の電車に乗りましょう。

問題は駅間距離が長く、電車の運行本数が限られている路線です。トイレが設置されている列車であっても、すべての車両に設置されているわけではありません。トイレが設置されている車両は限られており、よく利用されている東海道線や山陽本線を走る12両編成の新快速であっても、1編成に2か所です。いざトイレに行きたくなったとき、離れた車両に乗っていれば移動が大変です。

下の図は、東海道本線・山陽本線を走るJR西日本の新快速について、トイレのある車両を図解してものです。
トイレがある車両は、
・下り(西の方角へ) 網干・姫路方面行き(先頭1号車)・・・・・・1号車、9号車
・上り(東の方角へ) 野洲方面行き(先頭12号車)・・・・・・・・1号車、5号車
となります。
12両編成の新快速は、途中駅で切り離しができるよう8両編成の列車と4両編成の列車が連結されています。連結されている車両間は通り抜けできないため、トイレは1号車に加え、もう一つの編成である列車の連結車両(9号車又は5号車)にもあります。

★「東京駅に列車が入線したときに、神戸方面行の先頭車両が1号車となる」旧国鉄時代の法則があり、東京駅に入線しない列車であっても、東京駅からすると神戸方面、つまり西の方角に向けて走る列車の先頭車両が1号車とする名残があります。例外はありますが、応用はかなり効きます。

空席がないときはドア付近に立つ

混雑している状態で通路に立って乗車していると、突然、非常ブレーキを掛けられた場合、通路の乗客が将棋尾倒しになり押しつぶされる恐れがあります。ドア付近だと将棋倒しに巻き込まれることが回避できます。立っているときはドア付近であっても手すりをしっかり握っておきましょう。

外出するときには、普段から心がけたいこと

防災グッズの携行

外出される場合は、日帰り、宿泊にかかわらず、非常時に役立つ次のようなグッズを普段から携行する習慣をつけておきましょう。万が一の場合、必ず持っていて良かったと思われます。家族で用意するのではなく、幼児は別にして各自が携行することが基本です。

スマホには防災アプリをインストール

地震、台風の発生や火山の噴火など災害に関する警報、緊急情報がプッシュ通知されるアプリをインストールして普段から活用しておきましょう。無料のものでも十分使えます。

ジャンル主な機能
ニュース・警報緊急地震速報、津波警報、自治体が発令する避難情報などのプッシュ通知
ハザードマップ全国の自治体が発行したハザードマップへ簡単にアクセス
避難所ガイド現在地周辺の避難所・避難場所を自動検索して、施設までのルート案内
帰宅支援あらかじめ必要な地域の地図をダウンロードしておくと、通信障害でも使えるオフライン地図
家族の安否確認アプリをインストールしている家族同士が、GPSの位置情報により居場所を自動的に共有し、さらに安否まで共有
救急・救命近隣のAED所在地が分かるアプリと音声と動画による救命措置のナビゲートするアプリ
緊急対応緊急時に使える『トイレ』を簡単に、すぐに探せるマップ型ナビゲーションアプリ
運行情報電車の運休、遅延、運転見合わせ、運転再開などの最新の鉄道運行情報をプッシュ通知
道路交通情報高速道路や一般道路の交通規制、渋滞情報、通行止め解除のときにメール受信

防災アプリについての詳細は、下記の記事をご参照ください。
【南海トラフ大地震】災害・緊急時に役立つスマホアプリは? 

まとめ

本記事では、電車(JR在来線)に乗車しているときに大地震が発生したら、どういう事態に遭遇するのか、どう対処すればよいのかについて解説しました。
それらを踏まえ、今後、電車を利用する場合に心がけたい事柄についても解説しました。
災害に備えるとは、何もグッズを揃えるだけではありません。災害時の状況を想像して、その時どうするか?とイメージトレーニングしておくことも大事です。心構えができておればパニックに陥ることが避けられます。

新幹線、地下鉄に乗っているときに地震が起きた場合の記事については、下記の記事をご参照ください。
 【南海トラフ大地震】新幹線に乗っているときに地震が起きたらどうする?

 【南海トラフ大地震】地下鉄に乗っているときに地震が起きたらどうする?

飛行機に乗っているときに地震が起きた場合の記事については、下記の記事をご参照ください。
 【南海トラフ大地震】飛行機に乗っているときに地震が起きたらどうする?

南海トラフ巨大地震の備えに関する総合的なまとめ記事については、下記の記事をご参照ください。
 【南海トラフ大地震】防災グッズと日頃の備えで命を守るサバイバル防災術

南海トラフ巨大地震に備える非常食などの防災グッズの詳細については、下記の記事をご参照ください。
 【南海トラフ大地震】ローリングストック!食べ慣れた非常食を厳選

 【南海トラフ大地震】厳選!本当に必要な防災グッズ(備品・消耗品)

南海トラフ巨大地震の備えとして、アウトドアグッズ、ポータブル電源の購入を検討されている場合は、下記の記事をご参照ください。
 【南海トラフ大地震】停電時に役立つアウトドアグッズ

 【南海トラフ大地震】停電対策はポータブル電源が欠かせない

南海トラフ巨大地震の備えとして、ウォーターサーバーの導入を検討されている場合は、下記の記事をご参照ください。
 【南海トラフ大地震】ウォーターサーバーは停電しても常温の水が飲める

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