【南海トラフ大地震】断水に備え水道水を備蓄!賞味期限と保存方法

災害の備え浴槽に水を溜める 断水

普段の生活では、水を1日どのくらい使っているか意識していませんよね。
それは蛇口をひねればいつでも水が豊富に出てくるからです。
でも、災害で断水すると、飲み水だけなら普段から飲んでいるミネラルウォーターの備蓄で凌げます。しかし、確実に困るのは大量に使用する生活用水です。
断水しても何とか凌げるだけの生活用水は確保されているでしょうか? 
この記事では、断水時に3人家族が1週間に使う生活用水を確保する方法について提案しています。
読んでいただければ、きっとお役に立てると思います。

目次
南海トラフで巨大地震が発生したら、想像を絶する被害が。。。
 ・上水道の復旧に要する期間は?
 ・上水道が使えない期間は想定よりも長い期間を覚悟
生活用水の必要量は?
水道水の賞味期限
災害に備える生活用水の備蓄方法
 ・毎日、浴槽に水を溜めておく
 ・水道水をポリタンクに溜めて保存する
災害発生時は断水までに水道水を溜める
 ・停電でも水道水が出る家庭
 ・水道水を浴槽や容器に溜める
まとめ

南海トラフで巨大地震が発生したら、想像を絶する被害が。。。

政府の中央防災会議によると、太平洋側の静岡から宮崎にかけての一部地域では震度7の地震、隣接する広範囲の周辺地域では震度6強から震度6弱の地震が想定されています。
また、津波については、津波高10m 以上の巨大な津波が太平洋側の13 都県にわたる広い範囲で襲来することが想定されています。

上水道の復旧に要する期間は?

上水道の復旧はライフラインの中でも全体的に期間がかかるようです。最短が山陽地域の1週間、近畿地域では2週間、九州地域では4週間、最長が東海・四国地域の6週間です。  

【上水道】復旧対象給水人口の95%の断水が復旧するまでの予測日数
被災地域大きく被災する地方
東海地方近畿地方四国地方九州地方
東海(静岡、愛知、三重)約6週間後約6週間後約6週間後約6週間後
近畿(和歌山、大阪、兵庫)約2週間後約2週間後約2週間後約2週間後
山陽(岡山、広島、山口)約1週間後約1週間後約1週間後約1週間後
四国(4県)約6週間後約6週間後約6週間後約6週間後
九州(大分、宮崎)約4週間後約4週間後約4週間後約4週間後

出典:「南海トラフ巨大地震の被害想定について(施設等の被害)」(令和元年6月 内閣府政策統括官 (防災担当))       基本ケースのデータを使用しています。

上水道が使えない期間は想定よりも長い期間を覚悟

前記の「復旧対象数の95%が復旧するまでの予測日数」は、大地震による被災規模を想定し、復旧に要する期間を予測したものであり、確約されたものではありません。

2024年1月1日に発生した能登半島地震の被害状況、復旧の進捗状況をみると、被災の中心部が半島であるという地理的条件があるものの、電気の復旧は約1か月掛かりました。上水道は復旧の道のりは遠く、発災から3か月が経過した4月2日の時点でも、依然として能登地方を中心に約6,680戸で断水が続いています。浄水場や配水管の被害が想定以上に大きく、復旧に時間がかかっています。

南海トラフ巨大地震は地震のエレルギーが大きく、東は静岡から西は宮崎にかけて、太平洋側の人口密度が高く、経済の中心となる地域が甚大な被害を受けると想定されています。途絶えたライフラインを復旧するにしても、周辺の市町村も被災しているため、他地域からの支援や自衛隊の支援も限られ、長期間を要することが危惧されます。

南海トラフ巨大地震に備える場合は、過去の経験則にとらわれず、最低でも1週間、できるだけ長期間に耐えられる備えをしておくことが賢明です。

生活用水の必要量は?

人間が生活するために必要な水は飲み水だけではありません。飲み水のほかに調理用の水、食器類の洗浄、洗顔さらに手洗いやトイレの排水用の水が必要です。水道の蛇口をひねれば、いつでも必要なだけ水が出てくる便利な生活に慣れていると、いったい、どれだけの水が必要なのか想像もつきません。

ミネラルウォーターを備蓄していても、これはあくまで飲み水であって生活用水に使うわけにはいきません。
洗顔、手洗い、炊事、トイレなど(入浴、シャワーを除く)に使用する生活用水は、1日につき1人あたり10~20L必要といわれています。最も少ない1人あたり10Lとして仮定しても、3人家族で1週間分の必要量となると210Lになります。
210Lといってもピンときませんが、一般家庭の浴槽は200L~280L程度といわれていますから、概ね浴槽を満タンにした水量になります。これでも最低ラインです。実は、圧倒的に足りないのが生活用水なのです。

水道水の賞味期限

そもそも水道水って蛇口をひねると出てきて、その場で消費されてしまうため賞味期限という発想が生まれません。
まして、店頭で飲料として販売されているものではないため、賞味期限の表示そのものがないです。
したがって、賞味期限のない水道水を、一旦、容器に溜めた場合、いつまでなら飲めるか、あるいは使えるかという問題になります。

一般的には、水道水の賞味期限に関しては、「常温保存の場合は3日、冷蔵庫保存の場合は10日ほどであれば飲用水として使用可能」とされています。でも、これはあくまで飲用として使用、つまり飲む場合の賞味期限です。
では、飲用以外の目的、例えば生活用水として使う場合は何日までならOKなのかについては、定説がありません。

ところが、平成27年に興味深い実験結果が報告されていました。
それは、静岡県磐田市(環境水道部 上下水道工事課 施設グループ)が平成27年6月から6か月かけて行った検証実験の結果報告です。
結果報告の内容は、「常温で保管した水道水は、約1週間から2週間で残留塩素濃度が基準値を下回ったが、6ケ月経過後では細菌類の繁殖もなく、水の腐りもなかった。」というものです。水道事業所のプロ集団が6か月かけて検証された結果なので信頼性はあると考えます。

ただし、住んでいる地域によって残留塩素の濃度には微妙な差があるため、一口で「こうだ」とは言えませんが、常温で保管して6か月経っても腐敗がなかったということであれば、飲み水は無理としても、湯せんや手洗いなどの生活用水としては1か月程度経っていても十分使えそうです。
例えば、1か月ごとに水道水を入れ替えて保存するという現実的な運用はありますね。

★使用にあたっては、念のため水道水に変色がないか、浮遊物がないか、臭いがしないか確認しましょう。

出典:磐田市が行った「水道水の保存期間についての検証実験」(平成27年6月~11月)
    磐田市環境水道部 上下水道工事課 施設グループ

災害に備える生活用水の備蓄方法

3人家族が1週間で必要とする生活用水を最低でも210L確保するためには、浴槽を貯水タンク代わりに利用する方法と給水ポリタンクを併用して、できるだけ多くの水道水を備蓄するしか手はありません。

毎日、浴槽に水を溜めておく方法

備蓄というわけではありませんが、浴槽に水道水を溜める(溜めるまでの間は入浴後の残り水を捨てないでおく)ことが重要です。こうしておけば、地震などの災害で断水した場合であっても、200L程度の生活用水が確保できていることになります。
新しい水道水であれば湯せんなどの調理用や洗顔・手洗い、トイレの排水などに使え、残り水であればトイレの排水に使えます。
災害発生時の断水に備え、毎日、浴槽に水を溜める習慣をつけましょう。いつか、溜めておいて助かったと思われる日が訪れます。

浴槽に水を溜めておく方法には2通りあります。

①毎日、家族全員の入浴が済んだ後、浴槽を洗浄して新しい水道水を溜める

この方法だと、翌日の入浴までいつ断水しても200L程度の水道水が確保できていることになりますが、夜遅くになってから浴槽を洗浄することになります。毎日だとかなりしんどい方法なので長続きしないかもしれません。

②入浴後の湯を捨てずに一晩浴槽に溜めておく

家族全員の入浴が済んだ後、湯を捨てずに翌朝までおいておく方法です。
翌朝、浴槽の水を抜き、あるいは洗濯水として使用した後、洗浄した浴槽に水道水を溜めておき、夕刻、追い焚きして入浴することになります。

この方法では、
・翌日の朝まで入浴で使った水が溜められているので、その間に断水が発生したら生活用水(トイレの排水)に使用できます。ただし、残り湯だったので、満タン時よりかなり少なくなっています。
・翌日の朝から夕刻まで未使用の水道水が溜められているので、その間に断水が発生したら生活用水として湯せん、洗顔、手洗い、トイレの排水など広範囲の用途に使えます。

②の方法が一番、生活のリズムに合っており持続性があると思われます。ただ、入浴するときは、「お湯張り」ではなく「追い焚き」をするためガス代がわずかですが割高になる可能性があります。

★浴槽に水を溜めたら、必ず蓋を閉めるようにしてください。蓋を閉めていないと、地震が起きればせっかく溜めた水が地震の揺れで溢れて流れてしまいます。

水道水をポリタンクに溜めて保存する

毎日、浴槽に水道水を溜めたとしても、家族3人が1週間に必要な生活用水の最低ラインしかありません。しかも、地震発生のタイミングが深夜であった場合、浴槽にある水は残り湯の冷めたもので、調理には使えず、手洗い、洗顔、トイレの排水に使うことになります。したがって、どうしても、浴槽以外の方法でも水道水を保存する必要があるのです。

水道水は10Lのポリタンクに満タンにして保存しましょう。18Lや20Lのポリタンクで水道水を満タン
にすると運ぶのに難儀します。10Lのポリタンク2個がおすすめです。

以下の要領でポリタンクの貯水し、1か月間保管したのち、同じ要領で水を入れ替えて保管することを繰り返します。
この方法を継続して実行すると、常時20Lの生活用水(入れ替え後3日以内であれば飲料水としても使用可)が確保できていることになります。

この方法で、水道水を長持ちさせる秘訣は次の2つです。
・ポリタンクに空気が入らないようにすること
・ポリタンクに光を通させないこと

【ポリタンクの貯水方法と保管方法】
①ポリタンクを洗浄したのちよく乾かす。
②水道水を勢いよく注ぐと空気が入り、腐敗の原因になるのでゆっくりポリタンクに注ぐ。
③ポリタンクの口元から少し水が溢れるまで注ぎ、空気が入らないよう注意しながらしっかりキャプを締める。
④光を通さないようにポリタンクを黒いビニール袋で包む。
⑤ビニール袋に貯水した日付を書いたタグを貼りつけて冷暗所で保管する。

給水ポリタンク

災害発生時は断水するまでに水道水を浴槽に溜める

地震や台風で停電しても、水道水が出る家庭があります。
日課にしていた浴槽に水を溜めるのをうっかり忘れていたり、忙しくてできていなかった場合にはラストチャンスです。

停電でも水道水が出る家庭

停電で水道水が出るといっても、すべての家庭で水道水が出るわけではありません。水道の給水方式によって異なります。
また、水道水は、浄水場でろ過してきれいにした水を溜めた配水池から、配水官を通って家庭に配水されています。この配水管が途中で破裂や破損している場合には、どの方式であってもその個所から先は断水になります。

停電でも水が出る家庭は、ポンプを使わないで給水を受けている家庭です。
具体的に言うと
・一戸建ての住居にお住まいの家庭
・3階建てまでの低層マンションにお住まいの家庭
・4階建て以上の中高層マンションにお住まいの家庭(ただし、屋上等に貯水槽を設置する給水方式の場合に限り、貯水槽の水がなくなるまでの間)
です。

マンションにお住まいの方で給水方式(特に屋上の貯水槽の有無)をご存じでない場合は、あらかじめ調べておくと、いざというときに役に立ちます。

給水方式と断水の可能性
給水方式該当する住まい断水の可能性
直結直圧方式配水管の水圧を利用して給水する方式一戸建て電気を使用せずに、配水管の水圧を利用して送水しているため、停電が原因で断水することはありません。
低層マンション
(3階建てまで)
直結増圧方式給水管に増圧ポンプを設置して水圧の不足分を増圧して給水する方式中高層マンション(4階建て以上)増圧ポンプに電気を使用しているため、停電すると断水します。
貯水槽方式水道本管から引き込んだ水を一度受水槽に貯水した後、揚水ポンプで屋上などに設置された水槽に貯水し、重力により給水する方式揚水ポンプに電気を使用しているため、停電すると断水しますが、貯水槽に貯水された水を使い切るまで使うことができます。
マンションの貯水槽

水道水を浴槽や容器に溜める

地震発生後、水道水が出ることが確認できたら、取り急ぎ浴槽やバケツに大き目の鍋、空いたポリタンクやペットボトルなどの容器に水道水を溜めましょう。その後の余震で排水管が破損して断水するかもしれません。

①浴槽に水道水を溜める

浴槽に水道水を溜める場合、4つのケースに分けて対処する必要があります。
4つのケースごとの対処方法は以下の通りです。

浴槽の状態対処方法
浴槽に水が溜まっている溜めてある水が新しい水道水何もしなくて構わない
溜めてある水が入浴後の残り水残り水を排水し、洗浄して水道水を溜める
浴槽が空である既に浴槽が洗浄されている迷わす水道水を溜める
洗浄がまだ済んでいない洗浄して水道水を溜める

浴槽に水を溜めたら、必ず蓋を閉めるようにしてください。蓋を閉めていないと、余震が起きればせっかく溜めた水が地震の揺れで溢れて流れてしまいます。

②その他の容器に水道水を溜める

水道水を溜めた容器には、余震の揺れで水が溢れ出ないよう必ず蓋をしましょう。蓋のないバケツには切り開いたビニール袋をかぶせ、外れないようガムテープで固定しておきましょう。
ポリタンクの場合、冬場に石油ファンヒーターを使われている家庭では灯油用のポリタンクと間違えないように気を付けましょう。

まとめ

この記事では、生活用水の大切さと災害に備えて日頃から水を溜めておくことの重要さについて解説しました。
要点は以下のとおりです。
・3人家族が1週間の生活で使う生活用水の必要量は、最低でも210L(浴槽満タンに相当)
・毎日、浴槽に水を溜める
・ポリタンク(10L)2個に水道水を溜めて保管
・災害発生時は断水するまでに水道水を浴槽に溜める
災害に備え、毎日、浴槽に水を溜めましょう。南海トラフ大地震はいつ起きるかわかりません。でも起きた時にはきっとやっていてよかったと思われます。

南海トラフ巨大地震の備えに関する総合的なまとめ記事については、下記の記事をご参照ください。
【南海トラフ大地震】防災グッズと日頃の備えで命を守るサバイバル防災術

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【南海トラフ大地震】停電時に役立つアウトドアグッズ

【南海トラフ大地震】停電対策はポータブル電源が欠かせない

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